書く前に準備すべきこと(ターゲットの設定)

「さぁ、書くぞ!」とパソコンを立ち上げたものの、頭のなかは真っ白…。

書きたいことや伝えたいことは沢山あるのに、何から書きはじめていいのかわからない、なんて経験をしたことが、あなたにもありませんか?

実は、思うように書けない原因の多くは「書く前の準備不足」にあります。

では、書く前にいったいどんな準備をしていれば、サクサク書けるようになるのか?

それには、いくつかの手順があります。

順番に見ていきましょう。


① ターゲットを設定する


コピーを書く前には、かならず「ターゲットの設定」をしなくてはなりません。

「誰に向けて書いているのか?」が明確にイメージできなければ、どれだけ時間をかけてコピーを書いたとしても、まったく反応してもらえない可能性が高くなるからです。

商品やサービスを買ってくれる人、使ってくれる人がいるからこそ、

「その人を喜ばせるには、何をすればいいのか?」といったことや、
「その人の興味を引くには、何を書けばいいのか?」というアイデアが生まれるのです。


一つ例を挙げてご説明しましょう。

あなたが、大切な人に誕生日プレゼントを贈るところをイメージしてください。

相手は、家族でも、恋人でも、友達でもOKです。

もし、贈るプレゼントが、以前から相手が欲しがっていたものや、相手の好みにピッタリとあったものであれば、心の底から喜んでもらえますよね。

でも、相手の好みを無視したものや、自分の好みを押し付けたプレゼントを贈っても、同じように喜んでもらえるでしょうか?

きっと、「この人、わたしのこと何にもわかってない!」と思われてしまうでしょう。

これは、コピーライティングにおいても、同じです。

ターゲットが設定されていないコピーを書いたところで、読み手には何も伝わりません。

そうならないためにも、「誰に向けて書くのか?」を明確にする必要があるのです。

とは言え、具体的にどのような作業をすれば、ターゲットを正しく設定できるのか?

それには、ターゲットが抱えている悩みを知る作業が必要になります。



② ターゲットの抱えている悩みを知る


ターゲットがどんな悩みを抱えているかを知るには、
ターゲットの悩みを以下の「5段階」のレベルにわけて考える方法がオススメです。

5段階にわけて考えることで、ターゲットにドンピシャの訴求ができるようになります。

【5段階の悩みのレベル】

 1. 悩みを知らない
 2. 悩みを気にしていない
 3. 悩みを気にしはじめている
 4. 悩みについて調べている
 5. 悩み、苦しんでいる



では、順にご説明しましょう。


【レベル1】悩みを知らない


5段階のなかで、一番悩みのレベルが低いのが、この「悩みを知らない人」

本来なら、すでに悩んでいて当然の問題を抱えているのですが、
まだ問題自体を知らない、あるいは、気が付いていない状態にある人たちです。



例えば、あなたは「ブルーライト」をご存じですか?

パソコンやスマートフォン、薄型テレビなどから発せられる、人体に有害な光です。

このブルーライトを浴び続けると、目の疲れを感じやすくなり、睡眠障害などを引き起こす確率が上がると言われています。

この有害な光を約50%カットしてくれるのが、通称「PCメガネ」と言われる、特殊加工されたレンズを装着したメガネです。

しかし、当たり前のようにパソコンを使う現在でも、ブルーライトどころか、PCメガネの存在すら知らない人がたくさんいます。

ですので、毎日長時間パソコンに向きあっている人に、PCメガネを売ろうと思えば、まず、ブルーライトの危険性を何度もくり返し教えこむ必要があります。


想像してわかるとおり、この「悩みを知らない」レベルの人を説得したり、行動させたりするのは、ものすごく大変です。

気の遠くなるような時間と労力をかけて、啓蒙活動をおこなわなくてはなりません。

でも、このレベルのターゲットには下地がないので、それも仕方のないこと。

ですので、新しいテクノロジー、新素材を使った商品などは、何度も何度もくり返し情報を与え、説得し、納得してもらわないといけません。

ただし、余計な知識がないぶん、一度ハマると、のめり込みやすい傾向はあります。

以上を踏まえて、ターゲティングをおこなうのが良いでしょう。



【レベル2】悩みを気にしていない


第2段階のレベルは、「悩みを気にしていない人」

一応、知識はあるけれど、それをリアルに自分のこととは考えていない人たちです。

ここでは、「姿勢」を例に考えてみましょう。


姿勢が悪いと、体に歪みが生じ、腰痛や肩こりの原因になります。

これは、一般的にも知られていること、いわゆる「常識」ですよね。

そして、このレベルの人たちは、
「姿勢が悪い=健康を害する可能性がある」ということは、知っている。

でも、知っているだけで、リアルに自分自身のこととは考えておらず、まったく「気にしていない」のです。

ですので、どれだけ姿勢の悪さを親身になってアドバイスしたとしても、ほとんど効果がありません。

このレベルの人たちをターゲットにするのも、時間がかかり大変なのですが、扱う商品によっては、「フィアアピール」を上手く使うことで、グッと引きこめる場合もあります。

※「フィアアピール」
恐怖を喚起することで、ターゲットに脅威を与え、さらにその脅威を取り除くための商品・サービスを提案し、購入を促す方法を言う。



【レベル3】悩みを気にしはじめている


第3段階のレベルは、「悩みを気にしはじめている人」

悩みを抱えている自覚があり、微妙に気に掛けている状態にある人たちです。

前述した「姿勢」の例でご説明するなら、
「何か対策を打ったほうがいいだろうな」と思いながらも、まだ何もしていない。

つまり、漠然と意識はしているが、実際には、まだ何も動きだしていない状態です。


例えるなら、「いまのままじゃ、肩こりも解消できないし、良くないのはわかっている」、
「でも、このままの姿勢がラクだし、ピンと背筋を伸ばすのは面倒…」という状態。

実は、この「気にしはじめている人」は、ターゲットとしては、かなり有望です。

説得力のあるコピーで訴求すれば、スッと行動に移ることも多くあります。



【レベル4】悩みについて調べている


第4段階のレベルは、「悩みについて調べている人」。

「このままではいけない!何か手を打たないと…」
と思いつつ調べ、解決方法を探している状態にある人たちです。

姿勢の例でご説明すると、
「どんな対処法があって、どの方法が自分にあっているのか研究中」という感じです。

このレベルの人たちは、一般の人よりも、多くの知識をもっています。

ですので、その人たちが「おお!」となる提案ができれば、間違いなく飛びついてきます。

言い換えるなら、すでに「提案されるのを待っている状態」なのです。


この「悩みについて調べている人」へのアプローチは、比較的簡単です。

「あなたも、すでに色々調べていると思うけど、こういう理由から、あなたには、この商品がオススメです!」と教えてあげるだけで、アクションに誘導できます。


ただし、一つだけ注意点があります。

それは、ターゲットがかなりの「理論武装」と「体験」をしている可能性があること。

なので、半端な提案では、すぐに見抜かれてしまうこともありますので、
どのようなアプローチが効果的なのかは、しっかりと考える必要があります。



【レベル5】悩み、苦しんでいる


最も悩みのレベルが深いのがこれ。「悩み、苦しんでいる」人たちです。

もう、目の前まで危機が迫っており、「いますぐ解決したい!」と思っています。


例えるなら、砂漠でミネラルウォーターを売るようなもの。

砂漠を歩きまわるのに、水がなければ死んでしまいますよね。

死にたくない人は、近くに水を売ってくれる人がいれば、いくらお金をだしてでも買うでしょう。

このレベルは、極端に言えば、「商品を見せるだけで売れる状態」です。


ただ、このレベルの人たちはビジネスとして簡単なぶん、競合もたくさんいます。

さらに、目の前の問題に苦しんでいるわけですから、
すでに色々と調べているでしょうし、知識もあるに違いありません。

また、すでに他社の商品・サービスを試し、失敗した経験もあるでしょう。

つまり、警戒心ももっています。

ですので、あなたの提案内容は、すぐに競合商品・サービスと比較されることになりますので、その点は注意しなくてはなりません。



以上が、ターゲットの抱えている悩みを知るための「5段階」です。

一言で「ターゲット」と言っても、悩みのレベルによって、
さまざまな心理状態にあることがご理解いただけたのではないかと思います。

あなたの扱う商品やサービスのターゲットは、5段階のレベルのどこにいますか?

ターゲットの心にグサリと刺さる訴求をするには、ターゲットの悩みのレベルにあわせて、執筆するコピーの内容を変えなくてはなりません。

次のステップでは、「切り口を設定する方法」をご説明します。


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大橋一慶

「売れるコトバ作りの専門家」。2002年からネット広告のベンチャー企業に入社して以来、大手ADSLプロバイダーの見込み客リストを10万件以上獲得するなど、多くのWEBプロモーションを成功させる。独立後はセールスコピーライターとして、1,000件以上の広告に携わり、年間10億円の売上に貢献するなど、ネット・紙媒体を問わず多くの案件を成功させる。なかでも「売りにくい商品を売ること」が得意で、学習塾、リフォーム、不動産、保険など、差別化が難しく、広告の反応が冷え切っている業界でも驚異的なレスポンスを叩きだす。株式会社みんなのコピー代表取締役。