売れるストーリーの作り方(ハリウッドから学ぶ)

ストーリー・テリングが効果的なことは、
以前の記事「売れるストーリー」と「売れないストーリー」でお伝えした通りです。

しかし、どうすれば顧客の心を動かすストーリーが作れるのか?

今回は、そのテクニックについて、さらに掘り下げて考えてみましょう。


Q. 人の心を動かすストーリーの原則とは?


人の心を動かすストーリーには、共通した流れがあることをご存知でしょうか?

映画、漫画、ドラマ、本など…。

あなたがこれまでに見て、心を動かされたストーリーの多くが、一定のルールにしたがって作られているのです。

さらに、そのルールは現代だけではなく、大昔から伝わっている物語にも共通しています。

つまり、時代を超越して人を感動させるストーリーの「原理原則」が存在するのです。

人の心を動かすストーリーの原理原則とは、

「何か問題を抱えた主人公が、数多くの困難を乗り越え成功を掴む」

といった流れです。

いわゆる、「V字型」のストーリーです。


V字型ストーリー

ハリウッドは、全世界を対象にした映画を制作しています。

つまり、万人受けする作品を作らなければならないのですが、
実は、ハリウッド映画の多くは、この原理原則を頑なに守り、実践し続けています。

これは、ハリウッドだけの話ではありません。

あなたが過去に夢中になった漫画やドラマを思い出して下さい。

その主人公は、作中でどれだけの問題を抱え、乗り越えたでしょうか?

その度に、あなたはストーリーへ感情移入し、心を動かされたのではないでしょうか?

また、主人公が、一般の人達より不幸な環境にいたり、劣っている点があったなら?

あなたは、よりいっそう、ストーリーへ感情移入してしまったのではないでしょうか?

どれだけ時代が進んでも、心を動かされるストーリーの原理原則は同じです。

この原理原則を守ることが、人の心を動かすストーリーを作る秘訣なのです。



Q. では、具体的に、どのような文章を書けば良いか?


今回は、一つの例をお伝えします。

レスポンス広告業界では、誰もが知っている有名なコピーです。

アメリカに「ウォールストリート・ジャーナル」という有名な経済紙があります。

数十年前、ウォールストリート・ジャーナルを定期購読させるために、「マーティン・コンロイ」というコピーライターが、一通のダイレクトメールを書き上げました。

このダイレクトメールの反応は良く、30年以上にわたって使われました。

その上、数十億ドルの売上をもたらしたと言われています。

このダイレクトメールの冒頭部には、以下のショートストーリーが書かれていました。

親愛なる読者の皆様へ


25年前の美しい春の夕暮れ時、二人の若者が同じ大学を卒業しました。

彼らはとてもよく似ていました。

二人とも平均的な学生より成績がよく品格もあり、将来に向け情熱的な夢に満ちていました。

最近、この二人は25回目の同窓会で大学にやってきました。

彼らは相変わらずとてもよく似ていました。

二人とも幸せな結婚をしていました。

また、二人とも子供が3人いました。

判明したのですが、二人とも卒業後は同じ中西部のメーカーに勤めていまもそこで働いています。

しかし、違いもありました。

1人はその会社の小さな部署の管理職でした。

しかし、もう一人は社長でした。

何が違いを生じさせたのでしょうか?



これは、読者を引き込むために作られた、ショートストーリーです。

広告の最初にストーリーを語り、抵抗感なく読者を広告へ引き込む手法です。

このストーリー以降のコピーは、二人に違いをもたらした理由を述べ、その解決方法が、「ウォールストリート・ジャーナル」にあるという流れで、定期購読を華麗に売り込んでいます。

表現が鮮やかなので、なかなか気づけませんが、このストーリーを分析すると、以下の点に気づきます。

・ウォールストリート・ジャーナルの読み手(ターゲット)が主人公になっている
・主人公の問題と成功が見える(遠回しですがV字型の条件を満たしています)
・ストーリーの続きが、商品の売り込みに繋がっている



つまり、このストーリーを読んだターゲットは、まるで自分に起こっている出来事のようにストーリーを読み進め、感情移入したまま、売り込みの文章を全て読んでしまうのです。

ストーリーも素晴らしいですが、その使い方も素晴らしいお手本のようなコピーです。

レスポンス広告の場合、どれだけ素晴らしいストーリーが書けても、商品が売れなければ何の意味もありません。

重要なのは、良いストーリーを書くことではありません。

「ストーリーを活用して、商品を売り込む」

これが、レスポンス広告でストーリーを取り入れる際のポイントです。


人の心を動かすストーリーの原理原則

・人の心を動かすストーリーの原理原則とは、
「何か問題を抱えた主人公が、数多くの困難を乗り越え、成功を掴む」

・レスポンス広告で重要なのは、良いストーリーを書くことではなく、
「ストーリーを活用して、商品を売り込む」


今回お伝えしたテクニックも、ストーリー・テリングの一つです。

その他については、また、別の機会にご紹介いたします。


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大橋一慶

「売れるコトバ作りの専門家」。2002年からネット広告のベンチャー企業に入社して以来、大手ADSLプロバイダーの見込み客リストを10万件以上獲得するなど、多くのWEBプロモーションを成功させる。独立後はセールスコピーライターとして、1,000件以上の広告に携わり、年間10億円の売上に貢献するなど、ネット・紙媒体を問わず多くの案件を成功させる。なかでも「売りにくい商品を売ること」が得意で、学習塾、リフォーム、不動産、保険など、差別化が難しく、広告の反応が冷え切っている業界でも驚異的なレスポンスを叩きだす。株式会社みんなのコピー代表取締役。