インターネット広告のレスポンスを高める効果測定

レスポンス広告は、効果測定が命。

広告の反応を分析し、改善を繰り返すことで、よりレスポンスの高い広告が作成できます。

特に、インターネット広告で、効果測定をおろそかにすることは、机の上に積まれた100万円を無視して通り過ぎるようなもの。

インターネット広告では、従来の紙媒体広告よりも細かい効果測定が可能ですから、地道にPDCAサイクルを繰り返すことで、必ずレスポンスはアップできます。

※PDACサイクルとは?
Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)というサイクルを繰り返し、問題点を改善する方法。Act(改善)で導き出された内容は、次のPDCAサイクルにつながり、螺旋を描くように継続的に問題を改善していく。


今回は、インターネット広告を成功させる上で欠かせない、基本的な効果測定の知識とテクニックをお伝えします。


Q. 必ず知っておくべき5つの効果指標とは?


インターネット広告では、主に5つの指標をもとに効果を測定します。

■ インプレッション数
インプレッション数とは?広告の露出回数です。たとえば、バナー広告ならば、そのバナーが表示された回数であり、メール広告ならば、メールの総配信数がインプレッション数となります。

■ CTR(Crick Through Rate / クリック・スルー・レート)
CTRとは?インプレッション数のうち、広告やリンクがクリックされたパーセンテージのことを言います。クリック率とも呼ばれますが、インプレッション数が10,000回でクリック数が100回ならば? CTRは1%(100÷10,000=1%)となります。

■ CPC(Cost Per Crick / コスト・パー・クリック)
CPCとは?1件のクリックにかかったコストです。もし、広告費に10万円を使い、クリック数が1,000回ならば?CPCは100円(\100,000÷1,000=\100)となります。

■ CVR(Conversion Rate / コンバージョン・レート)
CVRとは?クリック数のうち、申し込みや会員登録、購入などのアクションが発生した率です。たとえば、クリック数が1,000回で、アクション数が10件だったなら?CVRは1%(10÷1,000=1%)となります。

■ CPA(Cost Per Action / コスト・パー・アクション)
CPAとは?1件のアクションにかかったコストです。たとえば、広告費に10万円を使い、100件のアクションが得られたなら?CPAは1,000円(\100,000÷100=\1,000)になります。


他にも、CPM(インプレッション数1000回あたりの料金)などありますが、上記5つの効果指標ほど重要ではありません。


Q. 5つの効果指標を使った分析方法とは?


ある広告を試して、思うようなレスポンスが出なかったとします。

もし、CVRがいつも通りの良い数値の割に、アクション数が少なければ、多くの場合CTRの低さに原因があります。

つまり、ランディングページへ誘導するためのバナー広告やメール広告の改善が必要です。

もし、CTRもCVRも悪くなければ、インプレッション数を増やさなければなりません。

また、インプレッション数も多く、CTRも高いのに、アクション数が少なければ、CVRの低さに原因がありますから、ランディングページを改善する必要があります。

このように、効果指標を把握できれば、レスポンスが低い原因を特定し、裏付けのある改善策を即座に実行できます。

また、過去の効果指標を蓄積することで、広告の失敗を回避することも可能です。



Q. 5つの効果指標で、広告の失敗を回避するには?


ここからは、ケーススタディでお話しましょう。

1件の申し込みにつき、1,000円のサプリメントを、インターネット広告で販売するとします。

何か良い広告媒体がないか探してみると、大手ポータルサイトのバナー広告が期間限定で安売りされていました。

料金は2週間の掲載で100万円。

通常価格は200万円ですから半額です。

これはお得です。

媒体資料に書かれた想定のPV数は(広告が表示される回数)500万PVで、想定クリック数は25,000回(想定CTR0.5%)、想定のCPCは40円。

過去に、違う広告媒体のバナー広告で、何度かこのサプリメントを販売しましたが、その時のCVRは平均で1%でした。

さて、この広告は成功するでしょうか?


答えは、失敗します。


もし、この広告を試すと、大きな赤字になってしまうでしょう。


このサプリメントをプロモーションして赤字にならないためには、「CPA=1000円」という基準を満たす必要があります。

しかし、今回見つけた大手ポータルサイトで広告を掲載した場合をシュミレーションしてみると、以下の数値が導き出されました。


25,000回(想定クリック数)×1%(過去のCVR平均)=250個(想定の販売個数)

250個(想定の販売個数)×1,000円(商品単価)=250,000円(想定の売上)

250,000円(想定の売上)-1,000,000円(広告費)=-750,000円(収支予測)

1,000,000円(広告費)÷250個(想定の販売個数)=想定CPA 4,000円


なんと、想定CPAは損益分岐点の4倍。

もし、この広告で成功するならば、以下のどれかを実現せねばなりません。

・バナー広告のクリエイティブを高めて、CTRを4倍以上にする。
・ランディングページのクリエイティブを高めて、CVRを4倍以上にする。
・媒体と交渉し、料金100万円のまま掲載期間を伸ばし、
 インプレッション数を4倍にしてもらう。
・媒体と交渉し、広告料金を250,000円まで値引きする。
・媒体と交渉し、期間保証広告ではなくクリック保証広告(1クリックあたりに広告費
 が発生するプラン)にしてもらい、1クリックの支払い単価を10円に設定する。


どれもこれも現実的とはいえない、難しい戦略ですよね。

つまり、この広告を使ったプロモーションは良くないことがわかります。

もちろん、これは、あくまでシュミレーション上の話しに過ぎません。

広告媒体によっては、シュミレーションを大きく上回るレスポンスが出ることもありますし、シュミレーションを大きく下回るレスポンスの場合もあります。

特に、メール媒体に関しては、リストの質が高ければ、想定CVRの倍以上のレスポンスが出ることも珍しくありません。

しかし、過去の平均CVRが1%という事実をベースに考えた時、どれだけその媒体の効果が良くても、CVRが4倍になるなんて現実的にありえるでしょうか?

物販でCVR4%という数値は、そう簡単に出せるレスポンスではありません。

このように、過去の平均CVRが1%というデーターがあるだけで、広告の失敗を事前に回避でき、成功の可能性が高い媒体を選出することも可能になります。

例えば、今回のケースの場合、CPC10円の媒体なら、成功の可能性が高いことがわかります。

つまり、CPC10円の広告媒体を探し出せば、正解は近づきます。

明確な効果測定は、インターネット広告を成功させる上で欠かせません。

それでは、今回の話をまとめましょう。


A. インターネット広告のレスポンスを高める効果測定

1. 5つの効果指標の意味は必ず理解し、覚えておく
2. 広告の成功と失敗を事前に判断するには、過去のレスポンスデーターが必要


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大橋一慶

「売れるコトバ作りの専門家」。2002年からネット広告のベンチャー企業に入社して以来、大手ADSLプロバイダーの見込み客リストを10万件以上獲得するなど、多くのWEBプロモーションを成功させる。独立後はセールスコピーライターとして、1,000件以上の広告に携わり、年間10億円の売上に貢献するなど、ネット・紙媒体を問わず多くの案件を成功させる。なかでも「売りにくい商品を売ること」が得意で、学習塾、リフォーム、不動産、保険など、差別化が難しく、広告の反応が冷え切っている業界でも驚異的なレスポンスを叩きだす。株式会社みんなのコピー代表取締役。