正直、私のWEBリテラシーは10年以上前のものです。
私がWEBマーケティングの最前線で働いていたのは、今から10年以上前の話。当時は、20名近くの部下を持ち、ADSLを販売するネット広告(ヤ○ーBBとか…)をはじめ、いろんなプロモーションを成功させていました。
ですが、独立後は、コピーライターとして広告文章の執筆が専門になり、WEBの便利なツールやトレンド、マーケティングとは、かなり疎遠になりました。時々、自社広告をPPCやフェイスブック広告で配信したり、今回のようなコンテンツを更新する程度です。
ただ、「WEBマーケティング古代人」の私にも、ひとつだけ自慢があります。
それは、この3年で、私がコピーを書いた見込客リスト獲得用のLPのレスポンスは、自社・他社の案件を問わず、すべてCVR10%以上を突破したということ。(使用した広告はフェイスブック広告です)
私は、最新のWEBマーケティングのことは、ほとんど知りません。それでも、このような結果がだせるのは「レスポンス広告の技術」を深く理解しているからと断言できます。
今回お伝えする「レスポンス広告の技術」は、インターネットがなかった昭和29年に紹介された技術です。もしかすると、「そんな古臭いもの、役に立たないんじゃ?」と思われたかもしれませんが、レスポンス広告の技術は、今も昔もほとんど変わりません。なぜなら、「普遍的な人間心理をコントロールするテクニック」だからです。
また、今回お伝えする広告技術は、私個人が考えた技術ではありません。伝説的なコピーライター「ジョン・ケープルズ」が残した、効果実証済みのテクニックです。
伝説的なコピーライター「ジョン・ケープルズ」とは?
アメリカの広告業界で58年間も活躍し、米コピーライター殿堂入り、米広告業界殿堂入りを果たしたジョン・ケープルズ。どんな世界にも、巨匠や巨人、神と呼ばれる偉大な人物がいるものですが、ジョン・ケープルズは、広告業界において「レスポンス広告の父」といっても過言ではないでしょう。
ジョン・ケープルズは、WEBがなかった時代から広告を科学的に分析し、レスポンスを下げる原因、上げる原因を、数多く突き止めてきました。彼が発見したレスポンスアップの技術は多くの書籍で紹介され、WEBマーケティング全盛期の現在においても、その効果が実証されています。
昭和29年に刊行された、ジョン・ケープルズ「幻の書籍」
昭和29年に刊行された「テストされた広告法」という書籍を知っていますか?
殖栗文夫さんという方が訳した「ジョン・ケープルズ」の著書です。実は、この「テストされた広告法」ですが、近年、あのトップコンサルタント神田昌典さんが監訳し、話題になった「ザ・コピーライティング」と同じ書籍なのです。
洋書は、監訳が変わるだけで、書籍の内容が変わってしまうことが多々あります。実際、神田さんと殖栗さんでは、書籍のタイトルまでもが変わっていますよね。
神田さんが監訳した「ザ・コピーライティング」も、とても素晴らしい内容ですが、今回は、ジョン・ケープルズと同じ時代に生き、本人と面会した経験もある殖栗さんが訳した「テストされた広告法」をベースに、「これは!」と思えたノウハウを抜粋いたします。
レスポンス広告の極意1
「無料オファーには要注意!」
サンプル提供とかお試しなどの無料オファーで、見込み客を集客するLPは、WEBマーケティングにおいて一般的なやり方です。「2ステップマーケティング」と呼ばれていますよね。
でも、「集めたリストからの引き上げ率が年々悪くなっている…」と嘆く方が、かなりいらっしゃいますが、当然でしょう。昭和29年から、この問題は発生していたのですから。
LTV(ライフタイムバリュー)を加味した戦略や、秀逸な引き上げ戦略がなければ、多くの場合、無料オファーはお金の無駄遣いです。
また、扱っている商品や媒体戦略によって変わりますが、無料オファーを実施するならば、低価格のフロント商品を販売するLPも作り、スプリットテストをすべきです。なぜなら、下記のような結果になることもあるから。
【1】無料オファーで1,000人集客 → 引き上げ率1% → 赤字
【2】低価格のフロント商品で200人集客 → 引き上げ率20% → 黒字
※無料オファーとは?
サンプル品、小冊子、無料体験など、価値のあるものを無料で提供するオファー。
※2ステップマーケティングとは?
まず、無料オファーや低価格の商品などをセールスし、見込み客を集客する。その後、見込み客と信頼関係を構築し、メイン商品を売り込む2段階式のプロモーション方法。
※LTV(ライフタイムバリュー)とは?
一人の顧客が、ある商品やサービスに対して支払う合計金額。顧客生涯価値とも言う。
※フロント商品とは?
集客用の商品。目玉商品とも言う。
レスポンス広告の極意2
「キャッチコピーに求められる要素は4つ」
1. 功利心を刺激する要素
(読者が手に入れたい幸福や利益を刺激する要素)
2. ニュース性がある要素
3. 好奇心を刺激する要素
4. 手っ取り早い、優しい方法
(早く、簡単に、誰でもできる方法)
■キャッチコピー例1
「どうして馬鹿げた思いつきが、私を一流セールスマンにしたか?」
「一流セールスマンにしたか?」=「功利心を刺激する要素」
「どうして馬鹿げた思いつきが」=「好奇心を刺激する要素」「簡単にできる」
■キャッチコピー例2
「この絵の、どこが間違っているでしょう?」
「この絵の、どこが間違っているでしょう?」=「好奇心を刺激する要素」
※このキャッチコピーの場合、広告を読むことで「絵に関する間違いの答え」が分かることを示している。つまり、広告を読むことで、無料で何か知識が得られることを約束している。この約束は、「功利心を刺激する要素」に値する。
■キャッチコピー例3
「どうやって私は一晩で記憶力をよくしたか?」
「一晩で記憶力をよくしたか?」=「功利心を刺激する要素」「手っ取り早くできる」
「どうやって」=「好奇心を刺激する要素」
キャッチコピーで一番大切な「功利心を刺激する要素」ですが、現代では「ベネフィット」とよく表現されます。
未だに、商品名やサービス名を大きく表示している広告を見かけますが、あれは自殺行為といえるでしょう。商品名やサービス名を、大きく見せて効果が得られるのは、アップル製品の熱狂的ファンに、最新のアップル製品を紹介するときぐらいです。
つまり、商品名やサービス名を大きく表示して効果が得られるのは、商品認知度が高く、ターゲットの欲求が非常に強いときだけ。このようなケースでなければ、キャッチコピーの作成はケープルズの教えに従うべきです。ただし、誇大広告は言うまでもなくNGです。
レスポンス広告の極意3
「強調しすぎるキャッチコピーは逆効果」
キャッチコピーに「信頼できるもの」を含めれば、この問題は解決できる。
広告の巨人、マックスウェルサックハイムは、下記の格言を残しました。
「お客は広告を読まない(見ない)」
「広告読んでも信じない」
「広告読んでも行動しない(買わない)」
ケープルズの教えからもわかることですが、昭和29年から、広告のセールス文章なんて誰も信じていなかったのです。この根本的な問題を解決するには、キャッチコピーに「権威」や「社会的証明」を加えるべきです。
※権威とは?
医者、弁護士、大学教授、専門家など、専門能力を有した人に従ってしまう心理。ただ、残念なことに、本物の専門家でなかったとしても、見栄えの良い肩書き、服装、装飾品などでも、権威は演出できる。
※社会的証明とは?
人は、他人が何を選んでいるかをみて、ものごとの正しさを判断してしまう心理。わかりやすく言えば、見知らぬ土地で、行列ができているラーメン屋をみて、「きっと、ここのラーメンは美味いんだろうな~。」と思ってしまう心理のこと。
「権威」と「社会的証明」を使った例をだしましょう。
【普通のキャッチコピー(パーソナルトレーニングの広告)】
30日で理想体型になる方法
【権威が加わると…】
医師も認めた、30日で理想体型になる方法
【社会的証明が加わると…】
3年予約待ちのトレーニングジムが教える、30日で理想体型になる方法
レスポンス広告の極意4
「好奇心を刺激するだけのキャッチコピーはダメ」
【例】功利心が揺さぶられるコピー
「どうして私は自分をハゲから救ったでしょう」
【例】「好奇心が刺激される要素」+「功利心が揺さぶられるコピー」
「不思議な出来事が、どうして私をハゲから救ったでしょう」
ベネフィットとお客さまの好奇心を刺激するネタを一緒に語れば、威力バツグンということですね。とはいえ、どうすればお客さまの好奇心を刺激できるのか?ポイントは、「ザイガニック効果」を使いこなすことです。
※ザイガニック効果とは?
人は、完成されたものよりも、未完成なものに興味を引かれる現象。(詳細はコチラ)
レスポンス広告の極意5
「広告人を唸らせるようなコピーはNG」
お客さまは、広告を部屋に飾るためにお金をだすのではなく、広告で紹介している商品やサービスにお金を払うのです。お客さま視点を失った広告は、広告制作側だけが絶賛する「三流アート作品」に成り下がります。
レスポンス広告の極意6
「会社名もキャッチコピーの一部」
たとえば、同じキャッチコピーでも、会社名が変わるだけで、このような印象の違いを持たれる。
「お金の心配をやめなさい」
NY会計事務所
⇒節税や会計処理を手段に、お金の心配をなくす方法が暗示される
「お金の心配をやめなさい」
NY生命保険会社
⇒生命保険を手段に、お金の心配をなくす方法が暗示される
「お金の心配をやめなさい」
NY銀行
⇒貯蓄や投資を手段に、お金の心配をなくす方法が暗示される
広告に掲載する社名は、インパクトや語感、センスよりも「何の会社なのかが、1秒でわかる」という要素の方が大切です。WEBサイトであれば、サイト名に当てはまります。
レスポンス広告の極意7
「考えさせるキャッチコピーはNG」
とらえにくいキャッチコピー、考えさせるキャッチコピーは、読者に読まれない。
「お客さまは広告を見ない(読まない)」。これは、先ほどお伝えした広告の原則です。この大前提を乗り越えるには、お客さまの直感を、金属バッドでフルスイングするようなキャッチコピーが大切になります。難しい話ではありません。ケープルズが伝えているのは、「わかりやすいキャッチコピーにしなさい!」ということです。
レスポンス広告の極意8
「キャッチコピーは、たくさん作ること」
たくさんのキャッチコピーを考えることができたとしても、一番難しいのは、何がベストなのかを選ぶことでしょう。結論から申し上げますと、可能な限りスプリットテストを繰り返すのが、一番堅実です。当てに行くのではなく、何が当たるのかを、結果から知る方が良いに決まっています。レスポンス広告はギャンブルではなく「科学」です。
レスポンス広告の極意9
「ウンザリした読者の目線を大事にすること」
どの会社も、クリエイティブについては、上司や同僚からレビューがあると思いますが、ボロカス言われてもくじけないように。多くの場合、あなたではなく、周りの意見の方が正しいのですから。
ただし、クライアントからの修正依頼には要注意。なぜなら、「社長がこう言うので…」「我社のイメージが…」など、セールスとは関係のない観点で、意見をだしてくることが多々あるからです。
レスポンス広告の極意10
「文字量が多いキャッチコピーの注意点」
ただし、大きなサイズにする文字は、必ずそれ自身が「意味を持つ言葉」であること。キャッチコピー全部を読まなければ、意味が伝わらない文字を強調するのはよくない。特定の文字を強調する場合は、読者が見出しの残った部分を読もうが読むまいが、メッセージを正しく伝えられる内容であることが重要だ。
レスポンス広告において、長いキャッチコピーは効果的と言われています。ですが、直感的にベネフィットが伝わる文字だけを目立たせておかなければ、一瞬でターゲットの注意を掴むのは難しくなります。
レスポンス広告の極意11
「キャッチコピーは、テンプレートに固執してはならない」
しかし、キャッチコピーを考えるたびに、テンプレートを使ってはいけない。これでは、いつまでたっても、あなたは新たな成功パターンを発見できない。
自分の想像力の許す限り、新しいキャッチコピーを生み出すべきだ。ただし、テンプレートは、わずか17分で広告を書かなければならないときには重宝できる。
私も、一時期はテンプレートを集めて、解析したり、実際に使ったりしていましたが、結果は良い時もあればダメな時もありました。これまで、800案件以上のコピーを書いてきましたが、レスポンスを出す上で、テンプレートよりも、何よりも大切なことがあります。
それは、「誰に、何をいうのか?」という訴求内容。いわゆる、広告メッセージの軸ですね。これが鋭く、ターゲットのハートを突き刺すものでなければ、どんなテンプレートを使っても、レスポンスは良くなりません。
逆に、訴求内容が素晴らしければ、適切なテンプレートを使用することで、さらに良いレスポンスが得られます。ただし、テンプレートを正しく使いこなすことができればですが…
レスポンス広告の極意12
「訴求内容は、キャッチコピーで大きく取り扱え」
11の広告でテストをした結果、成功した広告は、すべてキャッチコピーの中で、訴求内容を表現していた。しかし、成功しなかった広告は、すべて、キャッチコピーで訴求内容を表現していなかった。最も反応が良い広告と、最も反応が悪い広告とのレスポンス差は4.5倍。物販ならば、売上で4.5倍の差がでてしまう。
訴求内容は、その善し悪しだけではなく、キャッチコピーで大きくとり扱うことも重要だ。
さきほどもお伝えしましたが、レスポンスを得る上で一番重要なのが訴求内容です。「誰に、何を言うのか?」といった広告メッセージの軸部分ですが、具体的に言うと、下記の公式で成り立ちます。
「絞り込まれたターゲット」+「ターゲットが反応せざるを得ない商品切り口」=「訴求内容」
多くの人が、「どう言うのか?」ばかりに注目していますが、言葉の上手さだけでレスポンスを得られるほど、世の中甘くありません。しかし、訴求内容が優れている場合、それをキャッチコピーでシンプルに伝えるだけで、レスポンスは得られます。
レスポンス広告の極意13
「なんだかんだ言っても、人は有名人に弱い」
もし、広告予算がたくさんあるならば、有名人を起用するのは正しい選択と言えるでしょう。ただし、起用する有名人によっては、タレント事務所が広告表現についてNGをだしてくるケースもあるので、要注意です。
レスポンス広告の極意14
「数値は具体的に書くこと」
キャッチコピーに数字を入れると、レスポンスがアップすると言われています。
なぜなら、以下の理由があるからです。
1. 数字は、文章の中で存在感があり、視認性効果(見た目に目立つ効果)が高い
2. メッセージが具体的になり、信ぴょう性と説得力が高まる
3. 読者に伝えたいことを、簡単にイメージさせることができる
数字を使ったテクニックについて、もっと具体的に学びたい方は、以下の記事をチェック!
レスポンス広告の極意15
「正しいレビューをもらうには、2つの広告を用意すること」
社内の親しい人からレビューを貰うとき、この方法はとても大切です。レビューがお世辞になってしまっては、レスポンスの高い広告は作れません。
レスポンス広告の極意16
「コピーを書くときは、小学5年の読本にある字を使え」
また、広告を、すべての読者がわかるように書いても教養のある読者の気を悪くすることはない。
さすがに、小学5年生レベルの文章を書くのはマズイですが、ケープルズが解説している内容は、「とにかく、わかりやすく書け!」ということ。
その昔、歯科医師向けのサービスを販売する広告を書いたとき、専門用語を多用したキャッチコピーと、誰でも内容がわかるようなキャッチコピーで、A/Bテストをしてみました。結果は、誰でも内容がわかるキャッチコピーの方が、レスポンスが良かったのです。
相手が専門家だから、専門的な商品を売るからといって、「わかりやすさ」を無視するのは、得策ではありません。お客さまは、あなたの広告を読むのに、なるべく頭を使いたくないのです。
まとめ : 第一版と最新版の読み比べから学べることも重要
さて、今回ご紹介した「レスポンス広告16の極意」は、いかがでしたか?
神田昌典さんが監訳した「ザ・コピーライティング」で語られている内容とは、また違った角度から、ジョン・ケープルズのテクニックが学べたのではないでしょうか?
実際に読み比べると、もっと面白さがわかるのですが、古書として扱われる第一版と最新版では「まったく別モノ」といえるくらいに印象が異なるものも珍しくありません。たとえば、今回ご紹介した「テストされた広告法」と「ザ・コピーライティング」を比べた場合。まず、目次を見ても、語られている順番がまったく違うことに気付くことでしょう。
さらに、古書は最新版のように「太字」が使われておらず、本文で強調されている箇所がありません。ですから、現在あなたが抱えている問題や習熟レベルなどで「ここは重要だ!」というポイントは大きく変わってくることになります。私も、また来年読み返したなら、きっと違った発見をすることでしょう。それくらい、古書(第一版)と最新版の読み比べは面白く、奥の深いものなのです。「テストされた広告法」は入手困難な書籍ですが、今回の記事で興味をもたれたなら、ぜひ、探して購入してみてください。
それでは、またお会いしましょう。
大橋一慶
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