今回は、「価格設定の考え方」についてお伝えします。
あなたは、商品・サービスは「安い方が売れる」と考えていませんか?
結論から申し上げると、必ずしもそうではありません。
場合によっては、高めの価格設定の方が売れることもあるのです。
Q. なぜ、高めの価格設定の方が売れるのか?
高い価格設定の方が売れることをわかりやすく説明した、こんな実話があります。
ある海外旅行客向けの宝石屋に、どうしても売れないトルコ石の商品がありました。
あまりに売れないため、オーナーは出張に出かける前に、
店員へ「価格を2分の1にしておけ!」という走り書きのメモを残しました。
そして数日後、オーナーが出張から戻ったとき、
全く売れなかったトルコ石の商品は、ほぼ全て売れていました。
「まぁ、半額にすれば売れるか…」と思った矢先。
商品棚に置かれた値札に目をやると、信じられない光景が目に飛び込みました。
なんと、トルコ石の商品は、半額ではなく「2倍」になっていたのです。
オーナーは店員を呼び出し、いったいどういうことか問いただしました。
すると、店員は、オーナーのメモ書きの文字が、あまりにも汚すぎて、読み違えていたことがわかりました。
「1/2」を「×2」と勘違いし、商品の値段を2倍に設定してしまったのです。
なぜ、全く売れなかった商品が、値段を2倍にしたとたん売れ始めたのでしょうか?
その理由は「2つ」あります。
一つ目は、その地に訪れる観光客の多くが、トルコ石商品の相場を知らなかったこと。
二つ目は、その地に訪れる観光客は、比較的に富裕層が多く、
友人や家族に渡しても恥じないような、立派なお土産を探す傾向があったということ。
この2つにより、2倍の値段は「品質表示機能」として威力を発揮したのです。
Q. 品質表示機能とは?
価格には、「品質表示機能」があります。
簡単にご説明すると「価格がその商品やサービスの価値を示す基準になる」ということ。
2倍の値段になったトルコ石商品を買った人々は、商品の品質を「価格」に見出したのです。
つまり、お客さまの多くが、トルコ石の価値はよくわからないが、
「これぐらい高いものだったら、間違いないだろう」と思われたのです。
デフレが長く続く日本からすれば、信じられない話に思えるかもしれません。
しかし、価格が持つ「品質表示機能」は、
デフレであろうとも顧客の購買意欲に影響する重要な要素です。
たとえば、あなたは、あまりに値段の安過ぎる商品を見て、
「どうせ品質が悪いんだろうな」
「偽物じゃない?」
「安すぎるけど大丈夫なの?」
と思われた経験はありませんか?
特に、失敗したくない大切な買い物の場合、その気持はさらに強くなるでしょう。
これは、「品質表示機能」が持つ影響力によるものです。
Q. 品質表示機能は、どう使われるのか?
例えば、視力矯正手術の「レーシック」
世間に出始めた頃の相場は、両眼でおよそ50万円程でしたが、
これを「半額の25万円でOK」と言われたら、多くの人は、安過ぎて不安に思うでしょう。
当時はまだ、レーシックの安全性もわからない時代ですから、
「そんなに安くて本当に大丈夫なの?」と疑われるのも当然です。
安いから、と軽い気持ちで手術を受け、失明でもしたら取り返しが付きません。
実際、このような心理が働き、レーシックが浸透した今でも、
価格が安過ぎる医院では手術を受けたくないという人がたくさんいます。
もちろん、迷わず安い医院で手術を受けるという方もいると思いますが、ビジネスとして考えると、本来であれば高値で売れる商品を安売りすることは、賢い選択ではありません。
他のケースも考えてみましょう。
もし、あなたのご両親の歯が悪くなり、
「インプラント」という、人工歯を歯茎に埋め込む手術が必要になったら?
あなたの判断基準は、価格よりも「質」になるはずです。
そして、インプラントが何かよくわからないあなたは、
安過ぎる歯科医院よりも、適正と思える価格の医院を選ぶはずです。
逆に、安売りをプッシュする歯科医院には、「そこまでして申し込みが欲しいの?」と、
その歯科医師の人柄や、手術の質に疑いを持ってしまうのではないでしょうか?
このように、商品の認知度、また、お客さまが求める価値によって、安売りが毒になることは珍しくありません。
実際、わたしは、歯科業界をリサーチした経験があるのですが、インプラント成約数の多い歯科医院のほとんどが、安売りをせず、高めの料金を設定されていました。
他院より価格が高くても、安心して手術を受けられる医院が選ばれている証拠と言えるでしょう。
では、ここで今回の話をまとめましょう。
A. 安売り競争に巻き込まれない価格設定の方法とは?
安売りは、ターゲットの「認知度」や「求める価値」よっては、マイナスに働く。
「品質表示機能」を理解し、適切な価格設定をすることで、安売り競争は回避できる。
今回お話したのは、一つの例でしかありません。
しかし、中小企業が勝つには「安売りで勝負しない」ことが大切です。
中小企業が、安易に安売り合戦に参加すると、
「売れば売るほど儲からない負のスパイラル」に陥ってしまいます。
そうならないためにも、高くても申し込んでもらえる業界で勝負し、
商品やサービスそのものの価値を高めることが必要なのは、言うまでもありません。
この辺の具体的なテクニックは、また別の機会にお話しましょう。
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