1987年のことです。
通販で、ある商品が爆発的にヒットしました。
その商品は、もともと、どこの代理店も持て余していた、人気のない商品でした。
しかし、これまでにない「使用価値」を訴求することで、とたんにバカ売れ商品となったのです。
それは、「デロンギヒーター」です。
「デロンギヒーター」は、補助暖房器具です。
主暖房機で部屋が暖まったら、主暖房機のスイッチを切り、デロンギヒーターをオンにして室温を維持するという目的で使用されていました。
温風も出さずに暖房でき、空気も汚れにくいため、ヨーロッパでは普及していましたが、日本では、このような補助暖房器具は一般的ではありませんでした。
そのおかげで、どこの代理店も「デロンギヒーター」が売れずに頭を抱えていたのです。
しかし、通販生活の創業者である斎藤氏は、「デロンギヒーター」に、これまでにない使用価値を付け加え、メガヒット商品に変えてしまいます。
それは、「寝室用のヒーター」という、新たな使用価値でした。
実際、この新しい使用価値を訴求したキャッチコピーは以下になります。
「寝室においてくと、ひと晩中ホテルに止まっているような快適さ。」
当時、ヨーロッパでも、オイルヒーターを寝室に限定して使う習慣はなかったそうですが、この新しい訴求のおかげで、デロンギヒーターは、通販生活創刊以来、はじめての大ヒット商品になりました。
もちろん、日本にも寝室用ヒーターなんてありませんでした。
しかし、「エアコンの温風が苦手な人…」、「ひと晩中、寝室を暖めておきたいけど、暖房のしすぎや、換気が気になる…」などの悩みを抱え、寝室用のヒーターを欲しがっている人たちは、実は、たくさんいたのです。
つまり、ニーズは高いのに、それを解決できる商品がなかった状態だったのです。
デロンギヒーターは、温風を出しませんから、あまり暖かくなりません。
普通ならば、居間用の主暖房機としては、物足りないヒーターです。
また、補助暖房機として考えても、主暖房機との使い分けは面倒ですし、じっさい、どれくらいの温度が維持できるかが不安です。
しかし、これを寝室用の暖房機として考えると、「あまり暖かくならない」というデメリットが、「ひと晩中、穏やかな暖かさで眠れる」というメリットに変わります。
「温風を出さない」というデメリットが、「寝ていても喉が痛くならない」というメリットに変わります。
使うシチュエーションを新たに設定するだけで、新しい使用価値が生まれ、「デロンギヒーター」は、必要ではない商品から、どうしても欲しい商品に化けてしまったのです。
これはほんの一例です。
「新しい使用価値」と「ターゲット」を、売り手が独自に考えることで、これまでに売れなかった商品がヒットするケースは、珍しいことではありません。
実際、通販生活は、デロンギヒーターの件があって以来、積極的に、商品の新しい使用価値と、ターゲットを見出すことによって、数々の商品をヒットさせてきました。
お客さんのハートに火をつけるのは、「商品の新しさ」ではなく、「新しい使用価値」なのです。
「新しい使用価値」を見出すには、的確なリサーチが重要
以下のページでもお伝えしておりますが、
的確なリサーチにより、「どんな悩みや欲求を持った人に、何を言えば良いのか?」を明らかにすることが、「売れる使用価値」を見出すことにつながるのです。
いまの時代、ウェブページで気軽にスプリットテストができます。
なので、まず、複数の新しい使用価値を考え、複数のウェブページでテストをすること。
そして、もっとも反応が良かった使用価値で本格的にプロモーションする方法が、より堅実なやり方と言えるでしょう。
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