「フット・イン・ザ・ドア」レスポンスを高める心理テクニック

今回は、世界的に有名な心理テクニックについてお伝えします。

この心理テクニックを理解していれば、コピーライティングだけではなく、
対面営業や交渉の場面で、あなたの望む結果を得やすくなります。

その心理テクニックとは、「フット・イン・ザ・ドア」と呼ばれるテクニックです。


Q. 「フット・イン・ザ・ドア」とは?


それは、相手が同意しやすい小さな要求から始めて、
最終的に本命の要求を承諾させるテクニックのこと。


最初の小さな要求は、相手が共感しやすいものである方が有効と言われています。

つまり、相手が「そうだ!そのとおりだ!」
と思える小さな要求から始めれば、より、相手から承諾を得やすくなります。

フット・イン・ザ・ドアがどのようなものか、わかりやすく、例にしてお話しましょう。

まずは、ダメな例。

【ダメな例】
がん予防の権威と呼ばれる医学博士に、無茶な条件で講師を依頼する場合



■依頼者
「先生、当社は来月このような勉強会を企画しております。」
「急な話で申し訳ありませんが、講師としてご参加いただけますでしょうか?」

■講師
「それはまた、急な話だね。」

■依頼者
「申し訳ありません。」
「また、非常に申し上げにくいのですが、今回の勉強会は、なるべく多くの方にご参加いただきたく、参加費は1,000円しか徴収しておりません。」
「先生へお支払いする報酬は、交通費込みで5,000円になってしまうのですが…」

■講師
「その話、ちょっと、考えさせてくれないか?」(内心は、こいつバカにしてるのか!と激怒)

■依頼者
「1時間でけっこうですので、ぜひ、お願いします!」

■講師
「といわれてもなぁ…。」(ますます、バカにしてるのか!と大激怒)



しかし、これが、フット・イン・ザ・ドアのテクニックに沿うと…

【フット・イン・ザ・ドアを使った例】


■依頼者
「今、がん予防にまつわる情報が反乱しており、国民に正しい、知識はほとんどありません。」
「日本のがん患者を減らすためにも、先生の知識を、世の中に広めるお手伝いをさせていただけますでしょうか?」

■講師
「うむ。それは大切なことだね。」
「できる限り協力しましょう。」

■依頼者
「ありがとうございます。」
「実は、急な話で申し訳無いのですが、当社では、来月、このような勉強会を企画しております。」
「ぜひ、先生に1時間だけでも、講義していただきたいのですが。」

■講師
「まぁ、場所も近いし、1時間なら時間はとれますよ。」

■依頼者
「ありがとうございます。」
「また、今回のシンポジウムは、なるべく多くの方にご参加いただきたく、参加費は、1,000円しか徴収しておりません。」
「なので、誠に申し訳ないのですが、先生へお支払いする報酬は、交通費込みで5,000円になってしまうのですが、よろしいでしょうか?」

■講師
「んん…まぁ、いいでしょう。」(内心は安すぎるでしょ!と思いつつも…)



もちろん、実際の交渉が、これほどスムーズに進むなんで稀です。

しかし、この一例をみて、フット・イン・ザ・ドアがどのようなものか、
そのニュアンスは感じ取れたかと思われます。

人は、一度コミットメントをしてしまうと、そのコミットメントに沿った要求に同意しやすくなることが、社会心理学の観点から明らかにされています。

※コミットメントとは?
何かの要求を承諾し、自分の立場を明確にする。または、自分の意見を言うこと。


わかりやすく言えば、人は、一度自分の立場を明らかにすると、
その立場にそって行動してしまうということ。


なぜ、このような心理が働くのでしょうか?

それは、一貫性の法則が働くからです。


Q. 一貫性の法則とは?


ほとんどの人が、自分の言葉、信念、態度、行動を一貫したい、
または、一貫しているように見られたいと思っています。

その理由は、周りから一貫性のある人間に見られたいから。

あなたは、意見や態度がコロコロ変わる人や、
真剣な話し合いで、意見をコロコロ変える人を信用できるでしょうか?

もし、思わないのであれば、あなた自身も、一貫性を大切にしている人間ということ。

最初の小さな欲求が、社会的に価値、意義があるほど、あなたは、それを承諾しやすいだけではなく、承諾した内容に沿った要求を受け入れやすい習性をお持ちなのです。

この習性を応用したのが、フット・イン・ザ・ドアです。



Q. では、フット・イン・ザ・ドアをコピーライティングに応用するには?


それは、ボディコピーの最初の部分で、
ターゲットが「そうだ!そのとおり!」と、
思わず承諾してしまうような話から始めることです。

しかも、社会的に価値、意義がある話が効果的です。

その理由は、社会的に価値、意義のある話は承諾されやすいから。

例えば、赤ちゃん用の粉ミルクを、お母さん達に販売するとしたら…


「赤ちゃんの健康を守れるのは、いつも側にいるお母さんだけだと思いませんか?」


という始まりでボディコピーを書けば、ターゲットはこの話を承諾せざるをえません。

そして、ターゲットは、「我が子の健康を守る使命を持った人」
という一貫性を持って後のコピーを読み続けます。

もし、続くコピーが、最初にターゲットが承諾した内容(母親は、大切なわが子の健康を守れる唯一の存在)に沿った形で、商品の必要性、優れた点を上手に伝えることができれば?

最終的にターゲットはあなたの要求を承諾し、その粉ミルクを買うでしょう。

ただし、世の中には、一貫性を大切にしない人がいることも事実です。

どちらの人が良いか悪いかは、私には判断できませんが、世の中の大多数が、
一貫性を大切にしていることは、これまでに多くの実験で明らかにされています。

つまり、たくさん売れるコピーを書くならば、
フット・イン・ザ・ドアを意識することは、損ではありませんよね?

それでは、今回の話をまとめましょう。



A. 「フット・イン・ザ・ドア」レスポンスを高める心理テクニックとは?

1. 「フット・イン・ザ・ドア」とは、相手が同意しやすい小さな要求から始めて、最終的に本命の要求を承諾させる方法。
2. 最初の小さな要求は、社会的に価値、意義があり、相手が共感しやすいものであるべき。
3. コピーライティングで応用するならば、ボディコピーの最初に、社会的に価値、意義があり、ターゲットが「そうだ、その通り!」と思ってしまう話を展開すること。


今回の記事はいかがでしたか?

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大橋一慶

「売れるコトバ作りの専門家」。2002年からネット広告のベンチャー企業に入社して以来、大手ADSLプロバイダーの見込み客リストを10万件以上獲得するなど、多くのWEBプロモーションを成功させる。独立後はセールスコピーライターとして、1,000件以上の広告に携わり、年間10億円の売上に貢献するなど、ネット・紙媒体を問わず多くの案件を成功させる。なかでも「売りにくい商品を売ること」が得意で、学習塾、リフォーム、不動産、保険など、差別化が難しく、広告の反応が冷え切っている業界でも驚異的なレスポンスを叩きだす。株式会社みんなのコピー代表取締役。