たとえば、好きな人がいてデートに誘いたいとき。
多くの人が「デートしよう!」とは言いません。
「食事でも行かない?」などの誘い方をします。
その方が自然に誘えて、相手からOKがもらいやすいことを、みなさん知っているわけです。
なかには、相手の好物を徹底してリサーチし「あのピザ屋、人気らしいけど行ってみない?」のような誘い方をする手練もいます。
もし、リサーチがドンピシャで相手から嫌われていなかったら、高い確率で「うん!」と言ってもらえるでしょう。
これはあくまで一例ですが、伝え方が上手ければ、もっと簡単に相手をあなたの望む行動へ導けるようになります。
プチトマトの事例
最近こんなことがありました。
事務所の近くの飲食店を通り過ぎると、以下の貼り紙があったのです。
「残念ですが、心無い人に、せっかく育てたプチトマトが盗まれてしまいました。」
その貼り紙の下には、実際にもぎ取られたプチトマトがいくつか並べられ、横には少しだけ実が残ったプチトマトの木がありました。
この店主は、「もう、プチトマトを盗まれたくない!」「いたずらされたくない!」という気持ちで、この貼り紙を作ったのでしょう。
しかし、残念ながらこの貼り紙では効果を得られないでしょう。
それどころか逆効果になる可能性もあります。
なぜなら、社会心理学の観点からみて「プチトマトを盗まれた実績」が、模倣犯を増やしてしまうリスクがあるから。
何とかして再犯を防ぎたいものですが、あなたならどのような伝え方をしますか?
伝え方のコツ
相手の行動をコントロールするための伝え方は、それほど難しいものではありません。
ポイントは3つ。
1つ目は、自分の頭の中を、そのまま言葉にしないこと。
2つ目は、相手の頭の中を想像すること。
3つ目は、相手のメリットと一致するお願いをすること。
つまり、今回の貼り紙の場合「プチトマトを盗むな!」という自分の頭の中にある欲求を、そのまま伝えるのではありません。
相手の頭の中をイメージして、メッセージを考えるのです。
わたしなら、こんなメッセージにします。
具体的な例をあげるなら…
「このトマトは観賞用で、食用ではありません。」
「食べると、食中毒の危険性がありますので、ペットにも与えないでください。」
このようなコピーが良いでしょう。
このメッセージは、言うまでもなく店主の頭にある言葉ではないでしょう。
しかし、プチトマトを盗んでやろうと近づいた人が、このメッセージをみたらどうなるでしょうか?
「うわ!これは危ないな」「読んでおいて良かった」と思い、プチトマトを盗むのをやめ、店主の目的は達成されますよね。
今回は、「読み手目線に立つ」という、セールスコピーでは基本的な技術の1つを紹介しました。
多くの方がこの基本的な技術を無視して、自分の頭の中にあることばかりを書き連ねている傾向があります。
広告の主役は、売り手でも商品でもありません。
広告の主役は「お客様である読み手」です。
読み手が欲しくなるコピーを書くには、読み手の目線に立ったコピーが求められます。
それでは、今回の話をまとめましょう。
相手の行動をコントロールする伝え方
1. 自分の頭の中を、そのまま言葉にしないこと。
2. 相手の頭の中を想像すること。
3. 相手のメリットと一致するお願いをすること。
いかがでしたか?
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大橋一慶
「売れるコトバ作りの専門家」。2002年からネット広告のベンチャー企業に入社して以来、大手ADSLプロバイダーの見込み客リストを10万件以上獲得するなど、多くのWEBプロモーションを成功させる。独立後はセールスコピーライターとして、1,000件以上の広告に携わり、年間10億円の売上に貢献するなど、ネット・紙媒体を問わず多くの案件を成功させる。なかでも「売りにくい商品を売ること」が得意で、学習塾、リフォーム、不動産、保険など、差別化が難しく、広告の反応が冷え切っている業界でも驚異的なレスポンスを叩きだす。株式会社みんなのコピー代表取締役。
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