アイデア創作の5段階

どうやって優れたアイデアを手に入れるか?


いまから70年以上も前、ある一冊の本が出版されました。

「アイデアの公式」とも言えるその本は、
現在でも創作活動にかかわる人々のバイブルとして読み継がれています。

著者の名は、ジェームス・W・ヤング。

アメリカの広告代理店トムプソン社の常任最高顧問、アメリカ広告代理業協会の会長などを歴任した彼は、元々コピーライターでもありました。

彼は、著書「アイデアのつくり方」のなかで、アイデアを以下のように定義しています。

「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」



アイデアには、一定の考える順序、考える原理があります。

決して、奇跡的な幸運やインスピレーションから作られるものではなく、一定の創作過程、順序のあるものなのです。

つまり、アイデアを考えるのが苦手な人でも、その創作過程に習熟すれば、驚くほど短時間で素晴らしいアイデアを考えることができるのです。

では、優れたアイデアは、どのようなステップを経て生みだされるのか?

「アイデア創作の5段階」を順に見ていきましょう。


1. 資料を収集する


アイデア創作過程の第1段階は、「資料(データ)を集める」ことです。

この過程は、それほど頭を使うわけではありません。

大事なことは、念入りに必要な資料をあつめること。つまり、足と熱意の問題です。

しかし、単純であるがゆえ、いい加減でごまかしてしまいがちになります。

「アイデアを考える」と言うと、静かな部屋でジッと机に向かって考えている姿を想像するかもしれませんが、実は、すべての作業がそうではありません。

ヤングは、この段階で集めるべき資料には「2種類」あると言います。

それは、「特殊資料」「一般資料」

特殊資料とは、製品と消費者に関する資料のこと。

また、一般資料とは、あらゆる世の中の出来事に関する資料のこと。

広告のアイデアは、製品と消費者に関する「特殊知識」と、この世のさまざまな出来事についての「一般知識」との新しい組み合わせから生まれてくるのです。

この第1段階は、「足で稼ぐ段階」。

優れたアイデアを生みだすには、たくさんの資料を集めることが欠かせません。



2. 資料を咀嚼する(組み合わせを考える)


アイデア創作の第2段階は、「材料の組み合わせ」です。

これは、5段階のなかでも一番難しいプロセスですが、うまくゆけば、ここでアイデアが完成してしまうことも珍しくありません。

ここでは、第1段階で集めてきた個々の資料を手に取って、一つ一つ触ってみましょう。

あっちを向けたり、こっちを向けたり、違った組み合わせができないかを試します。

他にも、さまざまな角度から眺めたり、関係性を探ってみたり。

「想像力」や「閃き」といった、やや掴みどころのないものが大事になる段階ですが、集めた資料を十分に粗略することで、アイデアの消化活動がはじまるのです。



3. 努力を放棄する(発酵させる)


次のステップは、すこし意外な方法です。

アイデア創作の第3段階は、「自然発酵」

いったん問題を心の外に放りだしてしまい、考えることを放棄します。

好きな音楽を聴いたり、映画を見たり、本を読むのも良いでしょう。

アイデアが浮かばない原因の一つに、同じ角度から考えてばかりで、違った考え方ができないことが挙げられます。

一度、問題を忘れ、潜在意識にまかせることで、アイデアはどんどん発酵していきます。



4. アイデアが誕生する


第1段階~第3段階までのプロセスが上手くいけば、ついに、その時が訪れます。

そう。アイデアは、突然やってくるのです。

それは、寝ているときかもしれませんし、お風呂に入っているときかもしれません。

アイデアは、閃くことを期待していないときに、フッとわいてくるのです。

その瞬間を逃してしまわないよう、アイデアを書き留める準備をしておきましょう。



5. アイデアを具体化し、展開させる


最終段階は、生まれたアイデアを検討し、世にだす段階です。

頭のなかで終わらせることのないよう、形にします。

たくさんの良いアイデアが陽の目を見ずに消えていってしまう理由は、この段階にあります。

多くの人は、ここでやめてしまうのです。

どれだけ優れたアイデアでも、それを胸の奥にしまっておいたのでは意味がありません。

ヤングは、良いアイデアというのは、理解ある人々の批判を仰ぐことで、自分で成長する性質をもっていると言います。

生みだされたアイデアは、ブラッシュアップすることで、どんどん優れたアイデアになっていくのです。

では、ここまでの段階をまとめてみましょう。



優れたアイデアを生みだす「5つのステップ」

1. 資料を収集する
2. 資料を咀嚼する
3. 努力を放棄する
4. アイデアが誕生する
5. アイデアを具体化し、展開させる



「アイデアのつくり方」は、60分もあれば読めてしまう薄い本ですが、
きっと、あなたの発想を広げてくれる手助けになるでしょう。


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大橋一慶

「売れるコトバ作りの専門家」。2002年からネット広告のベンチャー企業に入社して以来、大手ADSLプロバイダーの見込み客リストを10万件以上獲得するなど、多くのWEBプロモーションを成功させる。独立後はセールスコピーライターとして、1,000件以上の広告に携わり、年間10億円の売上に貢献するなど、ネット・紙媒体を問わず多くの案件を成功させる。なかでも「売りにくい商品を売ること」が得意で、学習塾、リフォーム、不動産、保険など、差別化が難しく、広告の反応が冷え切っている業界でも驚異的なレスポンスを叩きだす。株式会社みんなのコピー代表取締役。